クエストカップ2021 全国大会もとうとう終盤に差し掛かってきました。2021年2月27日(土)、4日目の本日は、進路探究部門「マイストーリー」の発表です。
この記事では、当日の発表の様子をお伝えします。
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進路探究部門「マイストーリー」
進路探究部門「マイストーリー」では、生徒たちが自分の人生を「物語(マイストーリー)」として執筆し、新たな視点で過去をとらえ、探求した自分史を発表します。
今回は、事前審査の中から選ばれた7名の方々※に発表していただきました。
東京都 | クラーク記念国際高等学校(東京) | 私の履歴書 |
神奈川県 | 山手学院中学校 | 弱い自分のままでいい |
長野県 | 長野県上田千曲高等学校 | 咲けない花 |
大阪府 | 常翔啓光学園中学校 | 二世に生まれて |
長崎県 | 瓊浦高等学校 | 家族が教えてくれたこと |
大阪府 | 常翔学園中学校 | 思逃個進 |
大阪府 | 常翔啓光学園中学校 | 衝突 |
※クラーク記念国際高等学校(東京)の 作品タイトル「自由」は本人都合のため発表辞退。
発表の様子を一部紹介!
みなさんに発表いただいた内容は、どれも自分の体験を振り返り、見つめて、心にぐっとくるものがありました。その内容を、一部紹介させていただきます。
1.「私の履歴書」
まず最初に発表いただいたのは、東京都 クラーク記念国際高等学校の須藤さん。作品タイトルは「私の履歴書」です。
須藤さんは、幼少期はジャイアンのような性格だったところから、ディズニープリンセスにあこがれて美を追求するように。
「なんでいつも顔がこまっているの?」といわれたことをきっかけに自分の顔が嫌いになるも、メイクでコンプレックスに向き合って心が変わる体験をし、「ひとりでも多くの人に、自分に自信をもってポジティブな人生を送ってほしい」と、トータルコーディネートができるメイクセラピストになりたいという想いを語ってくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「そのときの自分の気持ちに向き合う力がはんぱない、素晴らしい」といったコメントや、メイクの相談もありました。
2.「弱い自分のままでいい」
次に発表してくださったのは、神奈川県 山手学院中学校の吉田さん。作品タイトルは「弱い自分のままでいい」です。
吉田さんは、小さいころから一緒にいる大好きな親友とのエピソード、そして親友をみながら自分を振り返った話をしてくださいました。
弱音をはいてばかりで助けられている自分、「私はなんてだめな人間なんだ」と思う自分だけれど、親友がそこを長所としてとらえてくれていることを知って感動したこと、自分のペースで成長していこうと感じたことを語ってくださいました。
コメンテーターからは、「自分が弱いと自分でわかっている強い人だと感じた」「やわらかな心になった」といったコメントがありました。
3.「咲けない花」
続いて発表してくださったのは、長野県上田千曲高等学校の佐渡さん。作品タイトルは「咲けない花」です。
小学校のときに友人と絶交したこと、そうしたことをきっかけに、傷つけたくもないし傷つきたくもないから誰とも関わらない中学生活を送ったこと、しかし高校に入ってすべてが変わっていったということをお話してくださいました。
自分を「花」に例えながら、先生、クラスメイト、たくさんの人に出会い、関わってくれた人たちのおかげで花が開いていったこと、これからも朽ちてなくなるまで咲き続けたいと語ってくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「心が震えて言葉が出ない」「ありのままのボイスを発信したら友だちのありのままのボイスとぶつかってあたりまえ。(孤独を感じさせてしまったことに対して)全国の小学校の先生の代表としてあやまりたいなという気持ち。」といったコメントがありました。
4.「二世に生まれて」
続いて発表してくださったのは、大阪府 常翔啓光学園中学校の宇野さん。作品タイトルは、「二世に生まれて」です。
宇野さんは、バングラディシュと日本のハーフで、父親がイスラム教徒のイスラム二世です。そしてそのことによって、学校での差別や、どこにも居場所がないと感じた体験についてな涙ながらに語ってくださいました。
自分と同じような外国籍の転校生がきて、その人を見て自分が孤立したのは自分の見た目だけではなく性格や視野の狭さにもあったと気づきがあったこと、そしていまはイスラム二世であることに誇りをもっているということをお話してくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「生まれたときの自分で生きにくくなるなんて、そんなことがあていいだろうか」「その状況になってすらも、自分を変えることで状況がかわるんじゃないかなという心の動きがすごい」といったコメントがありました。
5.「家族が教えてくれたこと」
続いて発表してくださったのは、長崎県 瓊浦高等学校の岩永さん。作品タイトルは、「家族が教えてくれたこと」です。
岩永さんは、双子の姉として生まれました。母親が仕事で授業参観にこれないときの寂しさや、双子で一緒に過ごせる幸せ、母親の再婚により新しい父親ができたときの母をとられるんじゃないかという気持ちや、新しい家族に対して感じた幸せを語ってくださいました。
人との関わりの中でたくさんのことを教わったこと、そばにいてくれていつでも味方でいてくれることへの感謝とともに、「家族について考えるきっかけになれば嬉しい」とお話してくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「涙が止まりません」「愛の連鎖を感じた」といったコメントがありました。
6.「思逃個進」
続いて発表してくださったのは、大阪府 常翔学園中学校の加藤さん。作品タイトルは、「思逃個進」です。
加藤さんは、努力しろといわれることが嫌だったり、人を信頼できなくなった体験をする中で、家族関係や勉強、将来のことから逃げていたとお話してくださいました。
「自分は自分でいてはいけないのか」と疑問を持ち探求するも、まだ自分を理解できていないとお話しながらも、自分が自分であるための独創性を追求していることを語ってくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「逃げじゃなくて越境!」「世の中はみんな二元論的に片付けようとするけれども、わからないなかで独創性っていうキーワードをもとにつくっていこうとしているのがすてき」「今のVOICEをせきららに語ってくれたのが嬉しい」といったコメントがありました。
7.「衝突」
最後に発表してくださったのは、大阪府 常翔啓光学園中学校の橋本さん。作品タイトルは、「衝突 」です。
橋本さんは、知的障がいを持っている兄弟との関わり、その中で感じている葛藤や、これから理解していきたいという想いについて語ってくださいました。
めんどくさいという気持ちや責任感、言い争いになってしまうたびに、腹が立ったりなぜわかってくれないのかと感じながらも、自分が一歩ひいたり、葛藤がありながらも兄弟の持つよいところを見たい、理解したいという想いをお話してくださいました。
コメンテーターや参加者の皆さんからは、「葛藤をないものにもせず、乗り越えたともいわず、そこにむきあっている、理解していきたいと思っている、そういうのを感じられたのが素晴らしいなと感動しました」「障がい者なんて誰ひとりいないと考えるきっかけにしてほしい」といったコメントがありました。
最後に
最後に、コメンテーターのおふたりから総評をいただき、会の終わりとなりました。
コメンテーター 木村泰子氏
「この年になってもこうして皆さんの発表から学ばせていただいて、すごく幸せ。今日は言葉には表せない感動でいっぱいでした。
ただ、これで終わってはいけなくて、私たちが発表してくれたみなさんに返せるのは、自分自身の行動を変えることだと思っています。」
コメンテーター 宮地 勘司
「どんな言葉も陳腐になってしまう。発表してくれた皆さんに、ただただ感謝の気持ちです。
そして、皆さんがこれだけのことを書けるというのは、教室が安心安全の場だったり、支えてきた先生方、クラスメイトや仲間たちがいるんだなと思いました。本当にありがとうございます。」
本日ご参加いただいた生徒の皆さん、先生方、観覧の方々、素晴らしい時間をありがとうございました!